曽田豊二文庫

曽田豊二 貝原益軒への畏敬、養生訓への共感

 貝原益軒への畏敬の念がずっとあった。幅広い視点から医学・医療、健康を考えるのも同じだ。それは、益軒が小さい頃、体が弱かったというのと、曽田が医学生の頃、肺結核を患って7年間の療養生活を送ったのというのが関係あるかも知れない。

 健康というのは損なわないようにし、生命を養わなければならない。ともに養生の大切さを、身をもって学んだのだろう。養生訓への共感がライフワークとなった。

名誉教授ら7人で始めた養生相談室

 「大学病院では『3時間待ちの3分診療』って言われていたからねえ。今度は逆にしようと思って」。曽田豊二先生はそう言って笑った。曽田は福岡大学医学部を定年退職した後、名誉教授仲間ら7人で2002年から、無料健康相談「養生相談室」を始めた。「健康相談室」でもなく、「医療相談室」でもなく、「養生相談室」。場所と事務局を親友、安藤精弥理事長の西福岡病院に頼み、始めた。

左から、檀健二郎(麻酔科)、利谷昭治(皮膚科)、曽田豊二(耳鼻咽喉科)、坂本公孝(泌尿器科)、西原英徳(解剖学・耳鼻科)のメンバー

賛同者登録申込

賛同者登録(無料)申し込みは下記からお願いします(*は必須です)

    ご選択ください

    氏名*

    連絡先*

    職業・所属・肩書など

    所在地(都道府県・市区町村)

    自由にお書き下さい*

     

    *スパムメール防止のため、こちらのボックスにチェックを入れてから送信してください。

    個人情報保護方針

    当サイトの運営に際し、お客さまのプライバシーを尊重し個人情報に対して十分な配慮を行うとともに、大切に保護し、 適正な管理を行うことに努めております。

    【個人情報の利用目的】

    a)お客さまのご要望に合わせたサービスをご提供するための各種ご連絡。
    b)お問い合わせいただいたご質問への回答のご連絡。

    ●取得した個人情報は、ご本人の同意なしに目的以外では利用しません。
    ●情報が漏洩しないよう対策を講じ、従業員だけでなく委託業者も監督します。
    ●ご本人の同意を得ずに第三者に情報を提供しません。
    ●ご本人からの求めに応じ情報を開示します。
    ●公開された個人情報が事実と異なる場合、訂正や削除に応じます。
    ●個人情報の取り扱いに関する苦情に対し、適切・迅速に対処します。

    問い合わせ

    お問い合わせは下記からお願いします(*は必須です)

      氏名*

      メールアドレス*

      職業・所属・肩書など

      所在地(都道府県・市区町村)

      お問い合わせ内容*

       

      *スパムメール防止のため、こちらのボックスにチェックを入れてから送信してください。

      個人情報保護方針

      当サイトの運営に際し、お客さまのプライバシーを尊重し個人情報に対して十分な配慮を行うとともに、大切に保護し、 適正な管理を行うことに努めております。

      【個人情報の利用目的】

      a)お客さまのご要望に合わせたサービスをご提供するための各種ご連絡。
      b)お問い合わせいただいたご質問への回答のご連絡。

      ●取得した個人情報は、ご本人の同意なしに目的以外では利用しません。
      ●情報が漏洩しないよう対策を講じ、従業員だけでなく委託業者も監督します。
      ●ご本人の同意を得ずに第三者に情報を提供しません。
      ●ご本人からの求めに応じ情報を開示します。
      ●公開された個人情報が事実と異なる場合、訂正や削除に応じます。
      ●個人情報の取り扱いに関する苦情に対し、適切・迅速に対処します。

      脇田温泉で見かけた「脇田温泉の由来」説明板

       養生訓の里ネットワーク準備会の活動が始まった2024年春、福岡県宮若市の脇田温泉「楠水閣」入り口付近で見かけた「脇田温泉の由来」説明板。なんと、そこに貝原益軒先生の名前がありました。
       「若宮物語」の著者、郷土史家の石松清が書いています。
       「温泉の沿革は古く黒田藩の学者貝原益軒が国内を巡歴する時 当地を訪れ元禄十六年(紀元1703)に著した筑前続風土記に次のように記している。『脇田村の西のはづれに温泉流出し間近く二ヶ所あり その上に薬師堂あり その辺の田の字を湯寺という。湯原は脇田の川向いなればこの所も温泉ありて湯原と名付けるらし』」
       益軒先生。筑前国も風土記づくりで歩いています。略年譜(井上忠氏作成)によれば、その年11月、筑前国続風土記が完成し、藩主綱政公に献じていますが、同年2月には武蔵温泉(現在の二日市温泉)に浴し、秋月を経て帰る、とあります。よく歩いた益軒先生、疲れは温泉で癒したのかも知れません。
       益軒先生は江戸、京都、長崎などの遠方はもとより、筑前国内を隈なく歩いています。その足跡を探すのも楽しみです。足跡情報をお待ちしています。(藤野博史)

      曽田豊二記念財団

       日本耳鼻咽喉科学会理事長、福岡大学病院長、同大学初代耳鼻咽喉科教授として医学・医療の発展、無料健康相談「養生相談室」活動などで社会への貢献に尽くした曽田豊二(1925~2017年)の没後、曽田の遺産をもとに、後進の育成、研究助成などを目的に、弟子や関係者らにより、設立された。キミヨ夫人は評議員を務め、夫の七回忌を見届け、2023年9月4日逝去した。一般財団法人。福岡市中央区赤坂1丁目6番11号 、赤坂コートビル6Fに事務局を置く。

      文庫開設特集 読売紙面

       曽田豊二が亡くなって2年後の2019年1月14日、西福岡病院隣接地に曽田豊二文庫が開設された。生前暮らした自宅(福岡市中央区赤坂)の書斎横に書庫があり、約3万冊が収蔵されていた。文庫開設は曽田キミヨ夫人(2023年逝去)のたっての希望だった。特集紙面には畏敬する貝原益軒への思い、養生相談室10年の経緯などがつづられている。

      会長 原 寛

      300年前に気付いた生活習慣病

       戦後、医療の進歩によって日本は超高齢社会となり、「人生百年時代」となりました。一方で百年をただ生きるのではなく、「健康長寿」である事が本当に望まれる事だと考えます。
       私は、106歳まで現役医師であった故日野原重明先生との出会いから健康長寿の運動を続けてきました。日野原先生は病の原因は加齢のよるものだけではなく生活習慣の乱れにあると「生活習慣病」という言葉を世に広めました。 その事に300年前、既に気付いていたのが貝原益軒です。益軒は自らの生活における実践行動を「養生訓」として著しました。故曽田豊二先生は養生相談室での健康相談など益軒の教えを社会に広めることを実践しておられました。私も益軒の先見性に着目し、現代「養生学」を上梓。現代人の健康長寿における益軒の教えの重要性を訴えてきました。今般発足したこの養生訓の里ネットワークが現代社会に益軒の教えを広め、人生百年を健康長寿とする一助になるよう尽力してまいります。


      1963年九州大学医学部卒業。医学博士。67年原土井病院開設。日本慢性期医療協会理事、公私病連盟理事、福岡県慢性期医療協会会長など歴任。

      副会長 安藤 文英

      曽田豊二がめざした益軒の事跡

       この度有難いご縁をいただき「養生訓の里ネットワーク」設立に当たり、事務局を設置することになりました「曽田豊二文庫」を所有運営しております医療法人西福岡病院理事長 安藤 文英でございます。
       故曽田豊二先生の蔵書約3万冊のご寄贈を受け、病院隣接地で一般公開しております。先生の学問・教養への取り組み、晩年傾注された「養生相談室」の運営にいたる思想の原点が表現されております。それらに日々身近に触れられる僥倖を実感する中、特に先生が見つめておられたのが福岡の誇る貝原益軒であったと気づかされます。先生がその生涯で目指されたものが益軒の事跡にあり、深い思慕の情が表れています。先生を知ることで改めて益軒の偉大さにたどり着くのです。
       先生の貴重な財産をお預かりし、それを継承して参る中で、私どもは新たな価値創造、展開に精進し、先生のご負託にお応えする所存です。


      1975年、九州大学医学部卒業。84年、医学博士。99年に西福岡病院理事長に着任。2018年に曽田豊二記念財団理事。19年に曽田豊二文庫運営委員会委員長。

      委員 久保 千春

      養生訓、心身医学に繋がる

       私は心身相関に興味を持ち、心理社会的ストレスが体のホメオスタシス系(神経・内分泌・免疫系)に及ぼす影響についての研究を行いました。病気は素因と人生体験(環境因子)の結晶です。環境因子は食事、睡眠、運動などの生活習慣や心理社会的ストレス、細菌、ウィルスなどの微生物、放射能、発癌物質などがあります。これらの中で、ストレス、栄養、睡眠が病気の発症や経過に及ぼす影響について基礎研究を行ってきました。自己免疫病発症マウスを用いて通常では10ヶ月で死亡するネズミをカロリー制限(通常飼育の6割のカロリー摂取量の低栄養)することにより、寿命は2倍にさらに脂肪摂取を制限することにより、3倍に延びることを明らかにしました。貝原益軒の七大養生訓の中に“飲食を節して、胃気を養う”、“ 怒りを押さえて、肝気を養う”、“ 思慮を少なくして、心気を養う”などがあり、食事や心理的因子の重要性を述べています。これはまさに心身医学に繋がっています。


      1973年九州大学医学部卒業。82年米国オクラホマ医学研究所にて栄養と免疫・老化の研究。93年九州大学心身医学教授。2008年九州大学病院長。14年九州大学総長、20年中村学園大学学長。

      いざ上方へ