曽田豊二文庫
曽田豊二は貝原益軒と養生訓に畏敬の念を抱き、大学教授を退いた後、元同僚の名誉教授仲間と語らい、養生相談室を開いた。その曽田豊二の遺志を継ぎ、曽田豊二文庫は養生訓の里ネットワーク事務局を担うことになった。
曽田豊二 貝原益軒への畏敬、養生訓への共感
貝原益軒への畏敬の念がずっとあった。幅広い視点から医学・医療、健康を考えるのも同じだ。それは、益軒が小さい頃、体が弱かったというのと、曽田が医学生の頃、肺結核を患って7年間の療養生活を送ったのというのが関係あるかも知れない。
健康というのは損なわないようにし、生命を養わなければならない。ともに養生の大切さを、身をもって学んだのだろう。養生訓への共感がライフワークとなった。
名誉教授ら7人で始めた養生相談室
「大学病院では『3時間待ちの3分診療』って言われていたからねえ。今度は逆にしようと思って」。曽田豊二先生はそう言って笑った。曽田は福岡大学医学部を定年退職した後、名誉教授仲間ら7人で2002年から、無料健康相談「養生相談室」を始めた。「健康相談室」でもなく、「医療相談室」でもなく、「養生相談室」。場所と事務局を親友、安藤精弥理事長の西福岡病院に頼み、始めた。
養生相談室の事務局、西福岡病院
曽田豊二記念財団
日本耳鼻咽喉科学会理事長、福岡大学病院長、同大学初代耳鼻咽喉科教授として医学・医療の発展、無料健康相談「養生相談室」活動などで社会への貢献に尽くした曽田豊二(1925~2017年)の没後、曽田の遺産をもとに、後進の育成、研究助成などを目的に、弟子や関係者らにより、設立された。キミヨ夫人は評議員を務め、夫の七回忌を見届け、2023年9月4日逝去した。一般財団法人。福岡市中央区赤坂1丁目6番11号 、赤坂コートビル6Fに事務局を置く。
文庫開設特集 読売紙面
曽田豊二が亡くなって2年後の2019年1月14日、西福岡病院隣接地に曽田豊二文庫が開設された。生前暮らした自宅(福岡市中央区赤坂)の書斎横に書庫があり、約3万冊が収蔵されていた。文庫開設は曽田キミヨ夫人(2023年逝去)のたっての希望だった。特集紙面には畏敬する貝原益軒への思い、養生相談室10年の経緯などがつづられている。